4.山車について
「広報えどさき」352号より.1987年10月
山車

山車は、飾りを立てた車または屋台で、これを祭りのときに曳き歩き、笛や太鼓でにぎやかに祭りの

気分を盛り上げるものである。山車曳きや「あんば(佐原)囃子」などが、江戸崎の祇園祭に取り入

れられるようになった年代については、現在までのところ、古い資料(古文書)が発見されていない

ので定かではない。「あんば囃子」については、大杉神社が、天正年間(1573 〜1592 )になり、

天然痘に利益があると
流布されるようになり流行の兆があると、御神体といわれる天狗やカラス口の

大面を借りて、村内
各地を囃子廻り、疫祓いをして歩いたものが、その起源とされている。

阿波下組神明宮奉社古帳に「享和3 年(1803 )亥6 月17 日大杉殿江戸深川八幡宮地内において、

60日之間開帳候也、巡行開帳上州其他処々にて致、霜月(11 月)10 日に、帰社致候(中略)大杉殿に

御供致し、浅草より始まり、道中は長左エ門先達にて若者20 余名を引きつれ、大杉囃子にて大あたり、

江戸中評判古今のあたりに御座候云々」とある。ちなみに、「あんば囃子」は、輪になって踊る曲

のテンポが遅い「八幡山」と、列になって踊る曲のテンポが早い「いそべ」の二つがある。

佐原囃子

「佐原囃子」は田楽・散楽に発し、江戸時代には歌舞伎囃子を採り入れて発達したものといわれ、

次の三つに大別される。

(1)儀式的な曲で、山車曳き廻しの始めと終わりに奏される。砂切・ばか囃子・花さんばなどの

「役物」

(2)吾妻・巣籠・さらし・神田・段七など浄瑠璃や歌舞伎などの影響を受け、いわゆる邦楽における

「段物」と同様の種類のもの。(難解のため、段物を演奏する下座連は少ないといわれる。)

(3)大漁節・松飾り・おやまか(そば屋)・猫じゃ・梅ヶ枝・船頭小唄・ラッパ節・ラバウル小唄など

の俗曲・民謡、または、流行歌などを取り入れたもので「端物」といわれるもの。

(※ここに記載した曲名が全部ではなく、これ以外のものもあるが略しました。)

現在の江戸崎祇園祭で、演奏されているお囃子も、これらの中からいくつか採り入れ、組み立てられた

ものである。なお、現在「佐原囃子」は、千葉県の無形文化財に指定され、佐原市内に約30 のグループ

(下座連)
があり、周辺市町村のものを含めると、約80 グループにも達するという。(市商工観光課)

参考文献

  • 「郷土芸能」茨城の民俗第7 号(和泉田冨美麿)
  • 改訂版「佐原囃子集成」昭和39年、編者岡野全一郎
  • 「茨城の祭」(根本甲子男・室伏勇編集)暁印書館
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